芋
新島高校の3年生は選択授業でふるさと体験学習があるらしい。
新島で農業といえばアメリカ芋。ということで農園でアメリカ芋を栽培している班がある。
その担当をしているY先生が、うちに電話をくれたのは3年前の冬だった。
「生徒が育てたアメリカ芋が少しあるけど、焼酎に使ってくれませんか?」
残念ながらその年は、本格的に芋焼酎造りをはじめた(というか、復活した)ばかりで、既に芋の仕込は終了していたために残念ながらお断りした。次の仕込には必ず使わせていただくのでと、栽培も引き続きお願いしておいた。
一年後、約束通りにY先生他先生3名、生徒5名が芋を50キロ程持参で、見学をかねて仕込の手伝いに来てくれた。
原料確保に苦労している立場としては、とてもうれしかったのを覚えている。
「大変申し訳ないのですが、できた焼酎を人数分いただけませんか?成人式にプレゼントしたいのです。」と、おっしゃる。
このおつきあいは順調に続いていて、今年の成人式には、その第1号の2年寝かせた芋焼酎が芋栽培に関わった新成人に渡されたと、村の広報紙で見た。
昨年の芋の仕込は消防団の関係で、神社の例大祭がらみのぎちぎちのスケジュールの中、これまた残念ながら高校の計画と時間が合わずに、生徒がうちの仕込みに来る事は出来なかった。でも学校で芋の下処理をして、仕込の日に持ってきてくれたので助かった。
今年はさらに拡大して、新島研究の一環として3年生全員で芋を育てるので、成人式に生徒と父兄および関係者分の芋焼酎を提供してほしいという依頼があった。
素晴らしい話なので、もちろんご協力させていただく事にした。
いい芋がたくさんできるといいね。
コメントありがとうございます。
夏場でも3本/6日のペースです。
小仕込なので、しょうがないですね~
shochuya 様
コメントありがとうございます。
うわー、温度管理とかホントに大変でしょうね。
品温より室温の方が高いときとかありますよね。
うちでは不可能です^^;
宮原酒造様
ご紹介いただきました、新島高校のYです。
毎年、私どもの無謀な願望を叶えていただき、ありがとうございます。そして、この願望をHPで紹介していただき、存外の喜びです。ご厚情に感謝申し上げます。
ご指摘のように、新島高校では、10年ほど前から、高校3年生の科目に「新島研究」という自由選択科目があります。新島・式根島出身の生徒が自分の郷土を学び、研究する授業です。担当教員は特定の科目の先生に固定されているわけではないので、毎年担当になった先生方で「新島研究」の内容を検討しています。
その中で、新島の郷土料理をつくるために自分たちでアメリカ芋を育ててみようというところから、新島村のふれあい農園でアメリカ芋を栽培する授業プログラムを提案しました。そして、その初年(平成16年)に郷土料理で使用する量よりも多く収穫でき、その残余のイモをどう使うかを思案していた時に、ちょうどいも焼酎「しきね」を作られた宮原酒造さんにアメリカ芋を提供できたら、現物の芋焼酎をいただけないだろうか?高校生には飲ませることはできないので、その年できたお酒を彼らの成人式でいただくことはできないか?と、ご相談のお電話をしたことは、ブログで紹介された通りです。
ここで、是非ご紹介したかったことは、この授業は「ふれあい農園のK氏」の献身的なご支援なしでは成り立たなかったことです。私たち高校教員が新島を題材に考えた夢物語を、K氏や宮原酒造さんがその無謀な現実問題をカバーして、この夢を汲み上げていただいた結果、今冬の成人式でアメリカ芋を栽培をした最初の生徒たちに芋焼酎を祝い酒として手渡すことができました。私個人は宮原酒造の芋焼酎は素晴らしいお酒だと思っていますが、彼らの成人式で手渡されたお酒は味が素晴らしいだけではなく、自分たちが一部でも郷土のお酒造りに関わり、みなさんの彼らへの思い・心粋が醸して下さった、無双の佳酒と感じてくれたと思います。
そして、今年は新島研究と同時に私のクラスの生徒と高校最後の学年のホームルームで、自分たちの思い出に残る何かをしようと考えたときに、この企画を拡大して取り組もうと考えました。私の中では、室町時代の惣村で伝えられたことば「酒の味は一味同心:惣村の結束を強めるために、一つの樽酒をみんなで分かち合って志を共有する」を思い出します。このことばを新島・式根島出身の新島高校の生徒の中で実践したい。それを体感できる場があるとすれば、島外で暮らしている仲間たちが一同に会する成人式に他ならない。そして、今までは同年代の中で分かち合うことができたらと考えましたが、成人式を機会に、成人させてくれたことを感謝すべき人にもこの佳酒を分かち合って欲しく、今年は更に勝手なお願いをしてしまいました次第です。
また、皆様のご厚情に甘えてしまうことになりますが、この企画はまさに新島のモヤイの精神が醸してくれた産物とありがたく自負しています。無理を承知した上で、尚ご協力いただけますよう、今年も宜しくお願い申し上げます。
先生、あまり立派な文章なのでなかなか返事が書けません(笑)
自分の作った芋で出来た焼酎を、大人になった証にもらうなんてことは、先生のような温かい心の大人が回りにいなければ絶対にできません。
そういう企画に参加させていただいて、こちらこそ本当に感謝しています。
私は作っていただいた芋を焼酎にする事しか出来ませんが、丁寧に作らせていただきますのでよろしくお願いいたします。